『レトリックについて「知恵袋」よりはマシな説明をする』というサイト
くり返し法・反復法
同じことばや音を続ける
くり返し法の、いちばんの特徴は「リズミカルな表現をつくる」ことです。もちろん、伝えたいことを強める効果もあります。けれども、くり返し法の持ち味は「いきいきとした、調子のよさを作りだす」ことです。

ここでは「音」と「単語」のくり返しを見てみます。


「音」をくりかえす。

「ガタガタ」「すやすや」といったものは、同じ音を2回重ねて使っています。ですので、「音のくり返し法」といえます。
「頭韻」や「脚韻」といった「韻を踏む」のも、「音」をくり返した表現です。


「単語」をくり返す。

くり返し法の中でも「単語」のくり返しは、多くの種類があります。
スペースの都合から1種類だけ、『草枕』(夏目漱石)から。

「…とかくに人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと…」

「住みにくい」と「越す」ということばが、2つずつくり返されています。そして、このくり返しが、流れるような言いまわしを作りあげています。

チャーチルの名言に「人間は真実を見なければならない、真実が人間を見ているからだ」というのがあります。

この文では「単語」がくり返されています。ですが「意味」も同じように、くり返しているでしょうか? アタマをひねてみてください。

〈真実〉というヤツは人間でも動物でもないから、なにかを目で見ることはできない。

ここで、「おや?」「おお!」とヒラメキがあったあなた。もしかしたらレトリックの世界に、向いているかもしれません。


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